万年筆を買ったばかり、あるいはプレゼントでもらったばかりで、箱を開けたまま手が止まっていませんか。ボールペンと違って最初からインクが入っていないので、どこにカートリッジを差すのか、コンバーターって何なのか、そもそもどう持てばいいのか、分からないことだらけですよね。
万年筆の使い方を調べると、インクの入れ方や持ち方、書き方のコツ、ペン先の向き、コンバーターの使い方まで情報がたくさん出てきます。角度は何度、指はペン先から何センチ、と細かく書かれていると、初心者のうちは「間違えたら壊れるのでは」と身構えてしまうかもしれません。
私の考えとしては、最初はカートリッジで始めれば十分です。コンバーターはインクの色を選びたくなってからで間に合います。書き方で守るのも2つだけ。ペン先の刻印がある面を上にして少し寝かせて持つことと、筆圧をかけないこと。この2つを守っていれば、書くときにペン先を傷める心配はまずありません。
この記事では、インクの入れ方から書き始めるまでの手順を、パイロット・プラチナ・セーラーなどメーカーの公式の説明に沿ってまとめました。実はメーカーによって手順が逆になるところもあるので、そこもはっきりさせておきます。
- カートリッジとコンバーターの入れ方の手順
- メーカーによって違うカートリッジの差し方
- 万年筆の持ち方と書き方で守る2つのこと
- インクが出ないときと書き終わった後の扱い
万年筆の使い方はインクの入れ方から始める
万年筆はインクを自分で入れるところから使い方が始まります。ここではカートリッジとコンバーターの2つの入れ方を、手順と注意点に分けて整理しました。最初の1本ならカートリッジの3つの見出しだけ読めば書き始められます。コンバーターの話は、色を変えたくなったときに戻ってくれば大丈夫です。
インクの入れ方はカートリッジとコンバーター
万年筆にインクを入れる方法は、大きく分けて2つあります。インクが詰まった小さな容器を差し込むカートリッジ式と、ボトル入りのインクを吸い上げる器具を付けるコンバーター式です。パイロットの公式サイトでも、インキの入れ方はカートリッジを装着する方法と、インキびんから吸入する方法の2つだと案内されています(出典:パイロット『PILOT LIBRARY 万年筆の使い方』)。
同じページには、万年筆にはインキが入っておらず、インキは自分で選んで自分で入れるもの、という一文もあります。買ったばかりのペンで何も書けないのは故障ではなく、そういう道具だということですね。
| 入れ方 | やること | 向いている人 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| カートリッジ | 使い切りの容器を差し込むだけ | 初めての人/出先で交換したい人 | ペンと同じメーカーのものを使う |
| コンバーター | 器具を差し、ボトルからインクを吸い上げる | 好きな色のインクを使いたい人 | ペンに対応した型を選ぶ/吸入の手間がかかる |
カートリッジは差し込むだけなので手が汚れにくく、出先での交換もできます。セーラーも公式サイトで、カートリッジは手軽に使えて持ち運びにも便利だと説明しています。コンバーターはインクの色を自由に選べるのが魅力ですが、吸い上げる手間と、ボトルを置く場所が必要です。
なお、ペンの本体にインクを吸い上げる仕組みが組み込まれた吸入式の万年筆もあります。セーラーの尾栓回転吸入式(プロフィット レアロなど)のように、カートリッジもコンバーターも使えない機種もあるので、手元のペンがどの方式かは説明書で確かめておきましょう。カクノやプレピー、無印良品の万年筆のような入門向けのモデルは、買ったときにカートリッジが付属しています。
万年筆がなぜインクを出せるのか、仕組みや値段の話は万年筆とは何か?仕組みとボールペンとの違い・値段を徹底解説でまとめています。この記事では手順だけに絞って進めますね。

カートリッジの差し方はペン先を上に向ける
入門向けのペンは、本体とカートリッジが別々に箱に入っていることが多いです。パイロットのカクノも、ボディとインキが別々に封入されていると紹介されています。まずは箱の中からカートリッジを探しておきましょう。
カートリッジの差し方は、どのメーカーでも大きな流れは同じです。作業の前に、メモ用紙や新聞紙を下に敷いておくと安心です。パイロットもインキの充填や交換のときはそうするよう勧めています。
- キャップを外し、軸(胴)を回して首の部分から外す
- ペン先を上に向けて持つ
- カートリッジの差し込み口の向きを確かめて、首の奥に差し込む
- 軸を戻して、インクがペン先に届くまでしばらく置く
- 紙に軽くペン先を当てて試し書きをする
ペン先を上に向けるのは、インクがこぼれないようにするためです。パイロットは取扱いの注意で、カートリッジの交換はペンを上に向けた状態で行うよう書いています。セーラーとプラチナの説明書も、ペン先を上にして差し込む手順になっています。
差し込み口の向きも大事なポイントです。セーラーは、カートリッジのくぼんでいる側(矢印の先が向いている側)が差し込み口だと案内しています。パイロットは、逆向きに差すとカートリッジの蓋を破るための内部の部品が壊れるおそれがあると注意しています。カートリッジの両端を見比べて、口の形をしている側を首に向けてください。
差してすぐに書けなくても慌てなくて大丈夫。インクがペン芯を通ってペン先まで下りてくるのに少し時間がかかります。セーラーの説明でも、胴をはめ直してしばらくするとインクが吸い上げられて書ける状態になる、という流れです。待っても出ないときの対処は、記事の後半の「インクが出ないとき」でまとめています。
カートリッジは「軸を外す→ペン先を上→向きを確かめて差す→しばらく待つ」の4ステップ。迷ったらペン先を上に向けることだけは守っておけば、インクをこぼす失敗はまず防げます。

カートリッジを回すか回さないかはメーカー次第
カートリッジは回さずにまっすぐ差す、と覚えている人も多いかもしれません。実はこれはパイロットとセーラーの説明で、プラチナは逆にゆっくり回しながら差し込むよう取扱説明書に書いています。ここは万年筆の使い方の中でも、つまずきやすいところです。
| メーカー | 差し方 | 公式の注意 |
|---|---|---|
| パイロット(カクノなど) | 回さずにまっすぐ差し込む | 回しながら差すと首軸の内部を傷めたり、蓋がふさがってインキが出なくなったりすることがある |
| セーラー | まっすぐ奥までグッと差し込む | ひねったり強くつまんだりすると、カートリッジやペン芯が破損するおそれ |
| プラチナ(プレピーなど) | ゆっくり回しながら差し込む | 先端のステンレスのボールがインクの中に落ちるまで入れる |
パイロットは、首の内部にカートリッジの蓋を破るための部品があると説明していて、まっすぐ差し込むことでその蓋が開く作りです。そこをねじってしまうと蓋がうまく開かなかったり、内部の部品に余計な力がかかったりします。セーラーも、ひねると破損のおそれがあるとしています。一方プラチナは、ペン先を上にしたままカートリッジをゆっくり回しながら差し込み、先端のステンレスのボールがインクの中に落ちるまで入れる、という手順を取扱説明書で案内しています。
つまり、どちらが正しいというより構造が違うということ。ネットの解説には「回さずにまっすぐ」だけを全メーカー共通のように書いているものもあるので、プラチナのペンを使う人は特に気をつけてください。いちばん確実なのは、手元のペンのメーカーの説明書に合わせることです。
外すときにも違いがあります。パイロットは、カートリッジが張り付いて抜けないときは、少し右回り(時計回り)に回しながら引き抜くよう案内しています。左に回すと内部の部品まで一緒にゆるむおそれがあるからです。外すときもペン先は上向きのまま、ゆっくり作業しましょう。

カートリッジはペンと同じメーカーのものを買う
替えのカートリッジを買うときは、ペンと同じメーカーのものを選びます。セーラーは公式サイトで、メーカーにより規格が異なるので当社製の万年筆には必ず当社製のカートリッジインクを使うように、と明記しています。パイロットもインキはパイロットの万年筆用インキを指定していて、プラチナの取扱説明書も替えはプラチナのカートリッジを使うよう案内しています。
| ペン | 使うカートリッジ | メーカー希望小売価格の例(税込) |
|---|---|---|
| パイロット カクノ | パイロットの万年筆用カートリッジインキ | IRF-12S 550円/色彩雫カートリッジ IRF-6S 990円 |
| プラチナ プレピー | プラチナのカートリッジインク | (プレピー本体660円にカートリッジ付属) |
| 無印良品 アルミ丸軸万年筆 | アルミ丸軸万年筆用インクカートリッジ(黒・2本入) | 150円 |
パイロットは、現行の万年筆に使えるカートリッジはシングルタイプの1種類だとしています。昔あったダブルスペアは製造が終わっているので、古い情報で迷わなくて大丈夫です。色を変えたいだけなら、パイロットには色彩雫(いろしずく)のカートリッジもあります。コンバーターを買わなくても、カートリッジのまま好みの色に替えられるわけですね。
無印良品の万年筆も考え方は同じで、アルミ丸軸万年筆用のカートリッジは、対応するアルミ丸軸万年筆・アルミポケット万年筆の専用パーツと書かれています。見た目が似ていても差し込み口の形が違うことがあるので、合わないカートリッジを無理に押し込むのはやめておきましょう。ペン本体を壊す原因になります。
他社のカートリッジが「使えた」という口コミを見かけることもありますが、メーカーはどこも自社製を指定しています。インク漏れや故障のリスクを考えると、最初の1本は同じメーカーのものを買っておくのが無難です。対応品は各メーカーの公式サイトで確認してください。

コンバーターの使い方と吸入の手順
コンバーターは、カートリッジの代わりに差し込んで使う小さなポンプのような器具です。ボトルのインクを吸い上げて、ペンの中にためておけます。基本の手順は次のとおりです。
- 軸を外し、カートリッジの代わりにコンバーターをまっすぐ差し込む
- ノブを回して中のピストンを下まで下げる
- ペン先をボトルのインクに浸す
- ノブを逆に回してインクを吸い上げる
- ペン先と首についたインクを柔らかい布やティッシュで拭き、軸を戻す
流れは同じでも、細かい言い方はメーカーで少しずつ違います。
| メーカー | ピストンを下げる | 浸す深さ | 吸い上げる |
|---|---|---|---|
| パイロット(回転式) | つまみを左に回す | ペン先を首の先端部分まで | 右に回しながら吸入 |
| パイロット(プッシュ式) | — | 首の先端部まで垂直に | ノブを5〜6回押す |
| プラチナ | ノブを左に回す | ペン先をインクに浸す(プロシオンは空気穴まで) | ノブを右に回す |
| セーラー | ノブを矢印の方向に回す | ペン先のハート穴が浸るまで | 矢印の方向にゆっくり回す |
セーラーは、一部の製品はハート穴まで浸けた状態では吸入できないことがあり、その場合は首(大先)までインクに浸けるよう補足しています(出典:セーラー万年筆『万年筆のインク補充方法』)。
パイロットからは注意点が3つ出ています。ペン先がインキびんの底に当たらないようにすること。ボトルには垂直にペン先を入れ、斜めにすると吸い込めなくなること。そして、回転式のCON-40は空気も一緒に吸い込むため、満タンにはならないこと。規定量の約0.4mlを吸っても中に空気が多く残りますが、それで正常だと説明されています(出典:パイロット よくあるご質問『万年筆のインキの入れ方がわかりません。』)。初めて吸ったときに「半分しか入らない」と焦る人が多いので、覚えておくと安心です。
ボトルのインクが少なくなってくると、ペン先を垂直に深く浸けられなくなります。パイロットは、インキ量が少なくなったらボトルに補充して使うよう案内しています。また、カスタムのような大きなペン先には、吸い込みやすいCON-70を勧めています。

コンバーターは色を選びたくなってからで十分
コンバーターを使うと、ボトルで売られている好きな色のインクが使えます。セーラーも、インクの色を楽しみたい人にコンバーターを勧めています。逆にいえば、付属のカートリッジの色で困っていないうちは、急いで買い足す理由はあまりありません。私の考えとしては、まずカートリッジで数本使い切ってみて、「青じゃなくて別の色で書きたい」と思ったときが買いどきかなと思います。
コンバーターはペン本体とは別売りです。メーカー公式の価格と容量は次のとおりです。
| コンバーター | 方式 | 吸入量 | メーカー希望小売価格(税込) |
|---|---|---|---|
| パイロット CON-40 | 回転式 | 約0.4ml | 550円 |
| パイロット CON-70N | プッシュ式 | 約1.1ml | 1,100円 |
| プラチナ コンバーター700A | 回転式 | 0.53ml | 880円 |
| プラチナ コンバーター800A | 回転式 | 0.53ml | 990円 |
カクノなどパイロットのペンで色を変えたくなったら、まずは回転式のCON-40から試してみるのが分かりやすいかなと思います。
対応する機種も決まっています。たとえばパイロットのカクノは、ウェブカタログでCON-40とCON-70Nが使えると案内されています。プラチナのコンバーターも使えない品番が明記されているので、ペンのメーカーの適合表で確かめてから買いましょう。インク代の目安としては、パイロットの色彩雫(いろしずく)が50ml入りで2,200円、小ぶりなボトルのminiが1,100円(いずれも税込)です。いきなり大きなボトルを買うより、miniで色を試すのも手ですね。
いろいろな色を少しずつ試してみたいだけなら、ペン先をインクに浸して書くガラスペンという道具もあります。洗えばすぐ別の色に替えられるので、色選びが目的なら相性がいいです。気になる人はなぜ書ける?ガラスペンの仕組みと初心者向けの使い方を解説ものぞいてみてください。
万年筆の使い方で守るのは持ち方と書き方の2つ
インクが入ったら、いよいよ書いてみます。万年筆の持ち方や書き方には細かい作法がたくさん語られていますが、ペン先を傷めないために守るのは2つだけです。ペン先の向きと筆圧。それ以外は好みで決めて大丈夫ですよ。
万年筆の持ち方はボールペンと同じでいい
パイロットの公式サイトでは、万年筆の持ち方はボールペンなどほかの筆記具と同じで、筆圧をかけなくても書けるのがポイントだと説明しています。特別な持ち方を覚え直す必要はありません。いつもボールペンを持つように、親指・人差し指・中指の3本で軽く支えれば十分です。
持ち方を解説する記事では、指を置く位置はペン先から何センチ、ペンの角度は何度、と具体的な数字が書かれていることがあります。ただ、パイロット・プラチナ・セーラーの公式の説明には、そうした数値は見当たりません。数字に合わせようとして手に力が入るくらいなら、普段どおりの持ち方で書き始めたほうが万年筆には優しいと私は考えています。
キャップは軸の後ろに差しても、外して置いても構いません。パイロットはこれを好みで決めてよいとしています。キャップを後ろに差すと軸が長く重くなり、外すと短く軽くなります。パイロットのカクノの体験講座では、手の小さい低学年の子はキャップを外して短く、高学年の子はキャップを後ろに差して長く持つと良いバランスになる、と紹介されていました。大人も同じで、両方試して書きやすいほうを選べばOKです。
軸の形も持ちやすさに関わります。カクノは、軸が転がりにくい六角形で、指が当たるところが3本の指に合うなだらかな三角形になっていて、自然と正しい持ち方が身につく作りだと紹介されています。持ち方に自信がない人ほど、こうした入門向けのペンから始めると楽かもしれません。
キャップには、回して外すタイプとまっすぐ引き抜くタイプがあります。パイロットは、引き抜くタイプを勢いよく外すとインキが飛び出すことがあると注意しています。最初の数回は、ゆっくり外す癖をつけておきましょう。

向きは刻印のある面を上にして少し寝かせる
1つ目に守るのは、ペン先の刻印がある面を上(表)に向けることです。ペン先には、メーカー名や字幅(EF・F・Mなど)の文字、模様が刻まれた面があります。そちらが上、つまり自分から見える側になるように持ちます。パイロットの公式サイトも、ペン先の刻印のある面を表向きにして書くよう案内しています。
カクノの場合は分かりやすくて、ペン先に顔のマークが入っています。パイロットの体験講座では、持ち方に自分流のクセがあっても、この顔のマークがいつも上を向くように気をつけていれば、だんだん正しい持ち方ができるようになると紹介されていました。初めての人は、とにかく「刻印が上」だけ確認してから書き始めればいいわけです。
刻印にはペン先の太さの表示が入っていることもあります。カクノならEF(極細)・F(細字)・M(中字)、プレピーなら02(極細)・03(細)・05(中)といった具合です。自分のペンの太さを確かめるついでに、刻印の位置を覚えておくと、毎回の持ち直しが速くなります。
そのうえで、ボールペンよりも少し寝かせ気味に構えます。パイロットの説明も「ボールペンよりもやや寝かせ気味に」という表現で、角度を何度と決めた数値は出していません。紙に軽く当てたときにインクがすっと出て、線がかすれない角度を探せば十分です。ペン先を横に傾けたり、ねじるように持ったりすると引っかかりやすくなるので、刻印が真上を向いているかをときどき見直してみてください。
ちなみに、ペンを裏返すと、刻印の反対側にはペン先を下から支える黒や透明の部品(ペン芯)が見えます。書いているときにこのペン芯が自分から見えていたら、上下が逆になっている合図です。
迷ったら「刻印が上・ボールペンより少し寝かせる」。角度の数字は覚えなくて大丈夫です。

書き方のコツは筆圧をかけないこと
2つ目に守るのは筆圧をかけないこと。万年筆は、ペン先を紙の上に置いただけでもインクが出てくる筆記具です。パイロットも、強い筆圧は必要なく、力を抜いて紙の上を滑らせるように書くとよいと説明しています。
なぜここまで言うかというと、ペン先を傷める原因になるからです。パイロットは、あまり強い筆圧はペン先の切れ目(切り割り)を広げてしまう可能性があると注意しています。プラチナの取扱説明書にも、ペン先に無理な力をかけると曲がってインクの出が悪くなるという趣旨の注意があります。書くときにペン先を傷める原因はほぼこの筆圧なので、ここさえ守れば日常の筆記で壊す心配はまずありません。
パイロットはよくある質問の中でも、万年筆は筆圧をほとんどかけなくてもインキの染み出しで書けるので、ボールペンのような強い筆圧はいらないと答えています。線がかすれたときに押して出そうとするのは逆効果で、まずは刻印が上を向いているか、ペンを少し寝かせているかを見直すほうが近道です。
とはいえ、ボールペンに慣れた手はつい押しつけてしまうもの。コツとしては、次のようなことを意識すると力が抜けやすいかなと思います。
- ペンを握りしめず、指先で軽く支える
- 紙に「置いて引く」感覚で線を書く
- 書いている途中で手に力が入っていないか、ときどき指をゆるめる
筆圧がいらないぶん、長い文章を書いても手が疲れにくいのが万年筆のいいところです。最初はインクの線が太く感じたり、思ったより速く進んだりして戸惑うかもしれませんが、数ページ書くうちに力の加減がつかめてきますよ。
もうひとつ、紙との相性もあります。パイロットの体験講座では、裏うつりしにくい便箋や一筆箋を選んで手紙を書いていて、紙質によってインキのにじみ具合が変わるのも万年筆の楽しさの一つだと紹介されていました。線がにじんだり裏に抜けたりするときは、書き方より紙を疑ってみるのも手です。
初めてでインクが出ないときと書き終わった後
カートリッジを差してすぐ書けないときは、まずしばらく置いて待ちます。パイロットは、インキが先端に届くまでしばらく置いてから試し書きをするよう案内しています。それでも出ないときは、パイロットの場合、カートリッジを両側から軽く押す(指で静かにつまむ)と、インキがペン先に送られて書けるようになると説明しています。ただしセーラーは強くつまむと破損するおそれがあるとしているので、つまんでよいかは手元のペンのメーカーの説明に従ってください。
書き終わったら、すぐにキャップを閉めます。キャップはペン先を守り、インクが乾くのを防ぐためのものです。パイロットも、使わないときはキャップをしっかり閉めるよう繰り返し注意しています。持ち歩くときは、振動でインクが漏れないようキャップを閉め、できるだけペン先を上向きにしておくのが安心です。
使う頻度について、パイロットは頻繁に使うことが万年筆にとって最もよいお手入れだとしています。毎日でなくても、ときどき書いていればインクが中で固まりにくくなります。逆に、しばらく使わない予定のときは、インクを抜いて内部を水で洗ってからしまうよう案内されています。うっかりキャップを開けたまま放置してインクが乾いてしまったときは、ペン先に柔らかい布を当てて、インクをにじませるようにするとよいそうです。
洗い方の基本は水です。パイロットの説明では、カートリッジを抜いたペン先をコップの水に入れ、汚れがひどいときは1〜2時間、しばらく使っていなかったときは一晩つけてから流水ですすぎ、柔らかい布で拭いて乾かします。インクの色を変えるときも同じように洗います。待っても洗っても書けない場合は無理に分解せず、購入店やメーカーのお客様相談室に相談してください。

初心者が覚える万年筆の使い方のまとめ
万年筆の使い方は、インクを入れることから始まります。最初はカートリッジで十分で、コンバーターはインクの色を選びたくなってからで間に合います。カートリッジは軸を外してペン先を上に向けて差し、しばらく待てば書けるようになります。ただし、パイロットとセーラーはまっすぐ、プラチナはゆっくり回しながらと、差し方はメーカーで逆になるので、手元のペンの説明に合わせてください。
替えのカートリッジやコンバーターは、ペンと同じメーカーのものを選びます。セーラーは規格がメーカーごとに違うと明記していて、パイロットやプラチナ、無印良品も自社のものを指定しています。コンバーターで吸い上げるときは、ペン先をボトルの底に当てないこと、満タンにならなくても正常なことを覚えておくと戸惑いません。
書き方で守るのは2つだけです。持ち方そのものはボールペンと同じでよく、キャップを後ろに差すかどうかも好みで決めて構いません。
- ペン先の刻印のある面を上にして、ボールペンより少し寝かせて持つ
- 筆圧をかけず、紙の上を滑らせるように書く
この2つを守っていれば、書くときにペン先を傷める心配はまずありません。角度の数字や指の位置は、あくまで目安として気楽に考えて大丈夫です。書き終わったらキャップを閉め、しばらく使わないなら洗ってからしまう。これで最初の1本と長く付き合えるはずです。
これから最初の1本を選ぶ人は、この記事で何度か例に出したカクノにすると、ここまでの手順をそのまま試せます。
なお、細かい手順や対応する機種、価格はメーカーやモデルによって違い、変わることもあります。正確な情報は各メーカーの公式サイトや付属の説明書を確認してください。万年筆の仕組みや値段をもう少し知りたい人は、万年筆とは何か?仕組みとボールペンとの違い・値段を徹底解説もあわせてどうぞ。
