エルバンのインクの種類と選び方|最初の1本と40色の色一覧

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白い天板に並んだ紫・緑・赤・紺のインクの小瓶4つと、透明なガラスペンと白い紙

ガラスペンを手に入れて、次はインク。文具店や通販で、四角い小瓶に可愛いラベルが貼られたエルバンのインクを見かけて、気になっている。でも種類が思ったより多くて、どれから手を付ければいいのか分からない。そんな状態ではないでしょうか。

エルバンのインクを調べると、トラディショナルインクのほかに、金や銀のラメが入ったアニバーサリーインク、香り付きのインク、パリがテーマのシリーズまで出てきます。エルバンのインクの色見本や色の一覧を眺めても、画面では違いがよく分からない。人気色はどれなのか、ガラスペンにも万年筆にも使えるのか、カートリッジは手持ちのペンに合うのか。気になることが次々に出てきて、迷いますよね。

私の考えとしては、エルバンのインクは最初の1本をトラディショナルインクから選べば、大きく外すことはありません。色は画面ではなく手持ちの紙で試すのがいちばん確実で、ラメ入りや香り付きは2本目からで十分かなと思います。

この記事では、エルバンのインクの種類を容量・値段・色数で1つの表にまとめ、トラディショナルインク40色の色名を系統別に並べました。2026年6月の価格改定後の値段で整理しているので、読み終えるころには、あなたが最初に買う1本と、その試し方まで決まっているはずです。

  • エルバンのインクの種類と値段・容量・色数
  • 最初の1本にトラディショナルインクを選ぶ理由
  • トラディショナル40色の色一覧と色見本の見方
  • ラメ入り・香り付きを2本目に回す理由と注意点

先に1本だけ決めておきたい人は、定番のトラディショナルインクの小瓶から見ておくと迷いにくいですよ。

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目次

エルバンのインクは最初の1本をトラディショナルで

この章では、エルバンというブランドの素性から始めて、インクの種類を一覧表で整理します。そのうえで、定番のトラディショナルインク、ラメ入りのアニバーサリーインク、香り付きとParisカラーズを順に見ていきますね。最後に、ガラスペンや万年筆で使えるのか、カートリッジの規格はどうなっているのかもまとめました。

エルバンとは1670年パリ生まれのインクの老舗

エルバン(HERBIN)は、1670年にパリで生まれたシーリングワックスとインクの老舗ブランドです。ルイ14世が王位にあった時代の創業なので、350年以上の歴史があることになります。日本では、手帳のクオバディスやメモ帳のロディアを扱うクオバディス・ジャパンが取り扱っていて、公式オンラインショップでも買えます。

クオバディス・ジャパンの説明(出典:クオバディス・ジャパン「herbin」ブランド紹介)によると、創始者のJ.エルバンは船乗りで、インドで買い付けた材料がシーリングワックス(封ろう)の質を大きく高めたそうです。封ろうはヨーロッパで流行し、やがて習慣となり、王室御用達にまでなりました。インクの生産を始めたのは1700年。1798年には4代目のジャック・エルバンが独自のインク開発と本格的な量産に乗り出し、これがメゾンを繁栄に導く転機になったと紹介されています。

エルバンのインクを語るうえで外せないのが、代表色の「ヴィオレパンセ」です。深みのある紫のインクで、1966年まで、フランス全土の小学校で指定色として使われてきたと説明されています。フランスでは子どもの頃から身近にあったインクということですね。代理店は「フランス人が最初に指名するインクはエルバン」とも紹介しています。

色の作り方にも特徴があります。エルバンのインクは自然の中にある色からヒントを得て作られているのが基本の考え方で、色名にも花や植物、土地の名前がよく出てきます。「忘れな草ブルー」「モクセイソウグリーン」「ビルマの琥珀」といった名前を見ると、色そのものだけでなく、名前の物語ごと選びたくなる人が多いのも分かる気がします。

もう1つ知っておくと迷いにくいのが、「ジャック・エルバン(JACQUES HERBIN)」という名前です。これはエルバンの上位ラインで、公式ショップではエクスクルーシブラインとして紹介されています。ラメ入りのアニバーサリーインクや、50ml瓶のエッセンシャルインクはこちらの名義です。通販でエルバンを探すと「エルバン」と「ジャック・エルバン」の両方が出てきますが、同じメゾンの定番ラインと上位ライン、と覚えておけば大丈夫です。

豆知識:ロゴが変わっています

公式ショップには、エルバンのブランドロゴが変更になり、商品とパッケージのデザインが順次切り替わるという案内が出ています。通販の写真と届いた瓶のラベルが少し違って見えても、ロゴの切り替えによるものかもしれません。

古いパリの街角にある文具店のショーウィンドウに並ぶインク瓶と赤い封ろう

エルバンのインク一覧と種類・値段の早見表

エルバンのインクは、シリーズごとに容量も値段も色数も違います。公式ショップはシリーズ別のページになっているので、横に並べて比べにくいんですよね。そこで、クオバディス・ジャパン公式オンラインショップの表示(2026年10月時点・税込)をもとに、主なボトルインクとカートリッジを1つの表にまとめました。

シリーズ容量値段(税込)色数特徴
トラディショナルインク30ml1,980円40色定番の染料インク
トラディショナルインクミニ10ml935円40色30mlの3分の1の容量
香り付きインク30ml/10ml2,310円/990円6色植物モチーフの香り
Paris カラーズ30ml/10ml2,090円/990円8色パリの名所がテーマ
アニバーサリーインク 167050ml/15ml4,840円/2,090円10色/9色金の微粒子入り
アニバーサリーインク 179850ml/15ml4,840円/2,090円5色/4色銀の微粒子入り
アニバーサリーインク 35050ml/15ml4,840円/2,090円1色金と銀の両方
エッセンシャルインク50ml3,300円10色ジャック・エルバンの上位ライン
万年筆用カートリッジ6本入り715円23色ヨーロッパ・ショートタイプ

こうして並べると、値段の差がはっきりしますね。トラディショナルの10mlは935円で、ラメ入りのアニバーサリーは15mlでも2,090円。同じ「小瓶」でも2倍以上の開きがあります。色数もトラディショナルの40色が飛び抜けて多く、ほかのボトルインクは1〜10色ほどです。

なお、公式ショップの多くの商品ページには「2026年6月1日より価格改定」の案内が出ています。ネットの古い記事には「30mlが1,540円」「10mlが715円」といった改定前の値段が残っていることがあるので、値段を比べるときは表示の時期に気を付けてください。表の値段もあくまで2026年10月時点の目安で、また変わる可能性があります。正確な値段と在庫は公式ショップでご確認ください。

表に入れなかったものとして、ドローイング用の「エクラ」というシリーズもあります。こちらは50mlで1,760円、70色と色数は多いのですが、公式の対象は筆・つけペン・エアブラシで、万年筆用とは書かれていません。混色や水彩のように使うインクなので、文字を書く用のインクを探しているなら、まずは表の中から選ぶほうが迷わないかなと思います。

通販のショッピング欄を見ると、トラディショナルの30mlは1,980円前後、10mlは900円台で売られていることが多く、定価から大きく値引きされている例はあまり見かけません。単品の10mlは送料がかかると割高になりやすいので、2色買うなら公式の送料無料の2色セット(1,870円)のようなセット品も比べてみるといいですよ。

文具店の木の棚に並ぶ大小さまざまなインクの瓶と、丸いカートリッジの缶

トラディショナルインクは40色・10mlから

最初の1本にトラディショナルインクを選ぶ理由は、とてもシンプルです。ボトルインクの中で、色がいちばん多く、値段がいちばん安く、10mlの小瓶がある。この3つがそろっているシリーズは、エルバンの中でトラディショナルだけなんですね。

公式ショップの説明(出典:クオバディス・ジャパン公式オンラインショップ「トラディショナルインク」)では、トラディショナルインクは「カラーバリエーション豊富なインクは全40色」。スタンダードな色から、ビビッドで個性的な色、柔らかく淡い色までそろっています。2026年10月時点では、ペブルグレー、アマランサスルージュ、カクタスグリーン、フォレストグリーン、アイリスサジェスの5色に「新色」の表示が付いていました。少し前の紹介記事には「全30色」「全35色」と書かれているものもありますが、それは新色が加わる前の数です。

容量は30mlと10mlの2種類で、色はどちらも40色から選べます。値段は30mlが1,980円、10mlが935円。容量あたりで見れば30mlのほうが割安ですが、最初の1本なら10mlで十分だと私は考えています。ガラスペンはペン先をインクに浸して書くので、1回に使う量はごくわずか。10mlでも、色を確かめるには困らない量です。

それに、最初の1色が本当に自分の好みに合うかどうかは、使ってみるまで分かりません。935円の10mlなら、合わなかったときのダメージも小さく、浮いたお金で2色目を試せます。10mlで気に入った色が見つかってから、その色だけ30mlで買い足す。この順番がいちばん無駄が出にくいかなと思います。

インクの性質は染料インクで、公式の対象は「吸引式万年筆、つけペン用」です。ガラスペンはつけペンの仲間なので、トラディショナルインクはそのまま使えます。30mlのボトルはスクエアのクラシカルな形で、手前にペンを置ける溝がついていて、ボトルデザインに合わせた箱に入っています。机に置いておくだけで絵になるのも、エルバンが選ばれる理由の1つですね。

最初の1本の選び方(目安)

  • シリーズ:トラディショナルインク
  • 容量:10ml(935円)で色を確かめる
  • 気に入った色だけ30ml(1,980円)で買い足す

あくまで目安なので、最初から決めている色があるなら30mlでも構いません。

窓辺の机で、深緑のインクの小瓶にガラスペンを浸す女性の手元

アニバーサリーインクは金と銀のラメ入り

エルバンのインクの中で、いちばん華やかなのがアニバーサリーインクです。上位ラインのジャック・エルバンの名義で、インクに金や銀の微粒子が入っているのが特徴。書いた文字が光の加減でキラッと光るので、カードやラベル、イラストの仕上げに使う人も多いシリーズです。

アニバーサリーインクには3つの系統があります。数字はエルバンの歴史に関係する年や記念の数字です。

名前微粒子由来色数(50ml)
1670金メゾン・エルバン創業の年10色
1798銀4代目ジャック・エルバンがインクの量産を始めた年5色
350金と銀創業350周年の記念1色(アトランティスグリーン)

1670の色は、ストームグレー、オーシャンブルー、ヘマタイトレッド、エメラルドチボー、キャロブキプロス、フューシャ マゼラン、ヴィオレアンペリアル、ターコイズ ペルシャ、オパール ノクターン、そして新色のテール マロックの10色です。1798は、ダイヤモンド ブルー、カーネリアンエジプト、カイヤナイト ネパール、アメジスト ウラルに、新色のオロール ラポニーを加えた5色。350のアトランティスグリーンは、世界中のファンのインターネット投票で色が決まった記念のインクです。

値段は、50mlが4,840円、15mlが2,090円です。トラディショナルの10ml(935円)と比べると、小さい瓶どうしでも2倍以上になります。なお、50mlの最新色が15mlには無いなど、50mlと色のラインナップが少し違うので、欲しい色が15mlにあるかは公式ショップで確かめてください。

使うときの注意点も、公式に書かれています(出典:クオバディス・ジャパン公式オンラインショップ「JACQUES HERBIN アニバーサリーインク 1670」)。微粒子はボトルの底に沈むので、よく振ってから使うこと。そして、微粒子がペン先から出る量は常に一定ではないこと。つまり、ラメの出方は書くたびに少しずつ変わります。それも味わいではあるのですが、「毎回同じように光らせたい」と思っている人には、少し扱いにくく感じるかもしれません。

アニバーサリーインクの注意点

  • 微粒子が底に沈むので、使う前によく振る
  • ラメの出る量は一定ではない
  • 15mlは瓶の口が小さいので、ペンによっては移し替えて使うよう公式が勧めている
深い紫のインクで紙に引いた線の中で、金色の細かいラメが光っている様子

香り付きインクとParisカラーズの違い

トラディショナルとアニバーサリーのほかに、通販でよく見かけるのが「香り付きインク」と「Paris カラーズ」です。どちらも30mlと10mlがあって、見た目の雰囲気も近いので、違いが分かりにくいですよね。ひとことで言うと、香り付きは「香り」、Parisカラーズは「テーマ」で選ぶシリーズです。

香り付きインク

香り付きインクは、香りを放つ植物をモチーフにしたインクです。公式の説明では、インク瓶にペンを浸して手紙を書いている間に香りが漂い、受け取った人が封を開けた瞬間にもほのかに香りが広がる、とされています。色はレモングリーン、ラベンダーブルー、カカオブラウン、オレンジアンバー、ローズレッド、ヴァイオレットパープルの6色。値段は30mlが2,310円、10mlが990円です。

手紙やカードを書く人には、ちょっとした楽しみが増えるインクですね。一方で、香りの感じ方は人によって違いますし、色は6色だけなので、色で選びたい人にはトラディショナルのほうが選択肢が広いです。上位ラインのジャック・エルバンにも50mlの香り付きインク(5,280円・4色)があり、こちらは色ごとに香りのノート(例:ブラックはタバコ・モス・ベチバー)まで書かれた、より本格的なシリーズになっています。

Paris カラーズ

Paris カラーズは、エルバン創業の地・パリをテーマにしたシリーズです。エッフェル塔、ムーラン・ルージュ、パリ・メトロ、ヴェルリ通り、パリの屋根、そして新色のビストロ・パリジャン、天文の泉、パッサージュ・デ・パノラマの8色。どの色にも、名所や街並みの由来が公式に添えられています。たとえば「パリの屋根」は、建物の約75%を覆う亜鉛屋根のブルーグレーがモチーフだそうです。

値段は30mlが2,090円、10mlが990円。トラディショナルより少し高めですが、ラメも香りも無い普通のインクなので、扱い方はトラディショナルとほぼ同じだと考えて大丈夫です。パリが好きな人への贈り物や、物語のある色を選びたい人に向いているシリーズかなと思います。公式の対象はどちらも「吸引式万年筆、つけペン用」です。

手紙やカードに香りを添えたくなったら、2本目の候補として見ておくと楽しいですよ。

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花の咲く庭のテーブルで、ラベンダーを添えて紫のインクで手紙を書く女性

ガラスペンと万年筆で使える?カートリッジは

「ガラスペンで使えるの?」という疑問には、答えは「使えます」です。トラディショナル、香り付き、Parisカラーズの公式の対象は「吸引式万年筆、つけペン用」。ガラスペンはペン先をインクに浸して書くつけペンの仲間なので、この対象に入ります。アニバーサリーインクの350についても、公式に「ガラスペンやつけペン、万年筆での筆記に向いています」と書かれています。

ガラスペンがなぜインクに浸すだけで書けるのか、その仕組みを知っておくと、インク選びもぐっと楽になります。ペン先の溝にインクがたまって少しずつ流れ出す仕組みなので、さらさらした染料インクとの相性がいいんですね。詳しくはガラスペンの仕組みと初心者向けの使い方で解説しています。

万年筆で使う場合は、少し注意が要ります。ボトルインクを使うには、インクを吸い上げる吸引式の万年筆か、コンバーター(インクを吸い上げる部品)を付けた万年筆が必要です。ラメ入りのアニバーサリーインクについては、公式は「吸入式万年筆、つけペン用」としつつ、微粒子の出る量が一定でないと注意しています。普段使いの万年筆に入れる前に、取扱説明書でラメ入りインクを使ってよいかを確かめておくと安心です。

カートリッジの規格

エルバンには、ボトルではなくカートリッジのインクもあります。トラディショナルインクのカートリッジは6本入りで715円・23色で、丸いアルミ缶に入っています。規格は公式に「欧州共通規格:ヨーロッパ・ショートタイプ」、長さは3.8cmと書かれています。上位ラインのエッセンシャルインクには、7本入り(1,100円)のロングタイプのカートリッジもあります。

カートリッジを買う前に確認すること

  • 手持ちの万年筆が「ヨーロッパ・ショートタイプ」のカートリッジに対応しているか
  • エッセンシャルのロングタイプは、ヨーロッパ規格の万年筆でも対応しない場合があると公式が注記

国内メーカーの万年筆は自社専用のカートリッジを使うものも多いので、対応する規格は各メーカーの公式情報でご確認ください。

まとめると、ガラスペンならボトルインクをそのまま使えて、万年筆ならボトル(吸引式・コンバーター)かカートリッジ(ヨーロッパ・ショート対応の機種)かを先に確かめる、という順番になります。エルバンはガラスペンも作っていて、公式ショップでは「つむぎ」などをトラディショナルのミニボトルとのセットでも販売しています。ガラスペン本体の値段の目安はガラスペンの値段の価格帯ガイドにまとめています。

カフェのテーブルで、万年筆に短いインクカートリッジを差し込もうとする手元

エルバンのインクの色見本は紙で試して選ぶ

種類が決まったら、次は色選びです。この章では、トラディショナルインク40色の色名を系統別に並べたうえで、色見本との付き合い方を考えます。画面の色見本だけで決めないほうがいい理由、人気色を知る手がかり、そしてラメ入りや香り付きを2本目に回す理由まで、順番に見ていきますね。

トラディショナル40色の色一覧を系統別に

公式ショップで選べるトラディショナルインクの色を、系統別に並べました。色名は公式ショップの表記そのままです。系統の分け方は、色名と公式の色見本から私がおおまかに分けた目安なので、境目にある色(灰みの緑、グレーがかったピンクなど)は人によって感じ方が違うかもしれません。迷う色は、公式ショップの「インクカラー&ストーリー」にある色の説明(たとえばグリヌアージュは「暗いグレー」、ムーンシャドウは「ダークパープル」)に合わせて分けています。

系統数色名
青7ブルーアズール、ツルニチソウ、カランクブルー、忘れな草ブルー、サファイアブルー、ディープブルー、ナイトブルー
緑9カクタスグリーン、フォレストグリーン、グレイッシュグリーン、ライトグリーン、ミントグリーン、オリーブグリーン、アイビーグリーン、モクセイソウグリーン、エンパイアグリーン
赤・ピンク9アマランサスルージュ、イナゴマメレッド、ブルゴーニュレッド、ガーネットレッド、トロピカルコーラル、テンダーローズ、アンティークブーケ、シクラメンレッド、オペラレッド
茶・黄・橙8ビルマの琥珀、ティーブラウン、ココアブラウン、アイランドカフェ、ティエラ・デル・フエゴ、ブトンドール、インディアンオレンジ、アンカーブラウン
紫4アイリスサジェス、ムーンシャドウ、ヴィオレパンセ、ラルム・ド・カシス
黒・灰3ペブルグレー、グリヌアージュ、ブラック

数えてみると、いちばん多いのは緑系と赤・ピンク系の9色ずつで、茶系が8色、青系が7色です。緑系だけで9色もそろっているので、緑が好きな人には特に選びがいがあるかもしれません。反対に、黒・灰系は3色で、黒らしい黒は「ブラック」の1色だけ。公式の色紹介では「インクの真珠」と呼ばれたツヤのある黒と説明されているので、黒を探しているなら、まずはブラックを候補にするといいですね。

色名には、エルバンらしい物語が込められています。公式ショップのトラディショナルインクのページでは、色ごとに「インクカラー&ストーリー」という画像で由来が紹介されています。物語の付け方はほかのシリーズも同じで、たとえばアニバーサリーインクの「エメラルドチボー」は、長い航海の間、創始者エルバンが幸運のお守りとしてポケットに入れていたといわれるエメラルドがモチーフだそうです。

色の見た目そのものは、公式ショップの各商品ページにある色見本で確認できます。この記事では色見本の画像を載せていませんが、それは次の節で話すように、画面の色見本は「だいたいの方向」を知るためのものだと考えているからです。気になる色を2〜3色に絞るところまでを、この一覧と公式の色見本でやっておくと、次のステップが楽になります。

色見本で迷ったら10mlを紙に試し書き

エルバンのインクの色見本を見て迷うのは、とても自然なことです。というのも、画面の色見本と、実際に紙に書いた色は同じにならないからなんですね。エルバンの公式ショップ自身も、ドローイングインクのページで「お使いのモニター設定、お部屋の照明等により実際の商品と色味が異なる場合がございます」と注意書きをしています。

インクの見え方を変える要素は、大きく分けて3つあります。

  • 画面:スマホやパソコンの明るさ・色の設定
  • 紙:白さ、表面の加工、インクの吸い込みやすさ
  • 書き方:インクの量、線の太さ、乾くまでの時間

この中でも影響が大きいのが紙です。同じインクでも、白い紙とクリーム色の紙では色の印象が変わりますし、インクを吸い込みやすい紙では色が沈んで見え、表面がつるっとした紙ではインクが紙の上に乗って濃淡が出やすくなります。ガラスペンで書くときの紙の選び方は、ガラスペンにおすすめの紙とにじむ原因で詳しくまとめています。

だからこそ、私の考えとしては、色は「あなたがいちばんよく書く紙」で試して決めるのがいちばん確実です。手帳に書くなら手帳の紙、手紙を書くなら便箋、イラストに使うならスケッチブック。色見本で2〜3色に絞ったら、まず10mlを1本買って、その紙に試し書きしてみる。思っていた色と違っても、935円なら次の色に移りやすいですよね。

色を決めるまでの手順(目安)

  1. この記事の色一覧と公式の色見本で、気になる色を2〜3色に絞る
  2. いちばん気になる1色を10mlで買う
  3. 普段いちばん使う紙に、細い線・太い線・塗りを試し書きする
  4. 乾いてからの色も見る(書いた直後と色が変わることがある)
  5. 気に入ったら30mlで買い足す。合わなければ次の候補を10mlで

試し書きは、書いた直後だけでなく、乾いてからもう一度見るのがコツです。インクは乾くと少し色が落ち着いたり、濃淡がはっきりしたりします。店頭に試し書きのコーナーがあれば、そこで紙を変えて書かせてもらうのも1つの方法ですね。

40色を1本ずつ選んで試したいときは、クオバディス公式オンラインショップのトラディショナルインクミニのページで色見本と在庫を見比べられます。

図書室の机で、白い紙とクリーム色の紙に塗った同じ青いインクを見比べる女性

人気色の手がかりは公式セットの6色

「エルバンのインクの人気色はどれ?」と気になる人も多いと思います。ただ、2026年10月時点で、公式の人気色ランキングのようなものは見当たりませんでした。個人ブログで「1番人気はミントグリーン」と紹介されている例もありますが、数年前の記事で、根拠もはっきりしません。そこで、公式が選んだ組み合わせから手がかりを探してみます。

1つ目の手がかりは、公式ショップの「ガラスペン つむぎ&ミニインクセット」です。ガラスペンとトラディショナルインクの10mlを組み合わせたセットで、組み合わせは次の6通りになっています。

ガラスペンの色セットのインク
クリアグリヌアージュ
グレームーンシャドウ
エメラルドグレイッシュグリーン
パープルアンティークブーケ
ブルーディープブルー
ターコイズミントグリーン

この6色は、公式がガラスペンと一緒に贈る前提で選んだ色、と見ることができます。緑・青・紫・ピンク・灰と系統がばらけているので、好きな系統から1色を選びやすい組み合わせですね。ガラスペン用に最初の1色を選ぶなら、この6色から考えるのは悪くない方法だと思います。

2つ目の手がかりは、昔から作られている色です。デザインメディアMdNの取材記事では、PR担当者が、トラディショナルインクの中でもブラック、イナゴマメレッド、ヴィオレパンセ、モクセイソウグリーン、忘れな草ブルーの5色は発売当初からある色だと話しています。担当者はこれを「300年以上愛され続けている色」と表現していて、それだけで選ぶ理由になりそうですね。中でもヴィオレパンセは、ブランド紹介でも代表色として名前が挙がる色です。

とはいえ、人気色はあくまで他の人が選んだ色です。最後に決めるのは、前の節で話したとおり、あなたの紙に書いたときの色。人気色は「候補を絞る入口」くらいに考えておくのがいいかなと思います。

リビングのソファで、ガラスペンとミントグリーンのインクの小瓶が入った箱を開ける女性

ラメ入りや香り付きは2本目から選ぶ理由

アニバーサリーインクのキラキラした筆跡や、香り付きインクの話を聞くと、最初からそちらが欲しくなりますよね。気持ちはよく分かります。それでも私が「2本目から」と考えているのには、3つの理由があります。

理由1:ラメ入りは値段が約2倍になる

小さい瓶どうしで比べても、トラディショナルの10mlが935円なのに対して、アニバーサリーの15mlは2,090円で約2.2倍。50mlだと4,840円になります。香り付きは10mlで990円、30mlで2,310円と少し高い程度ですが、色が6色に限られます。最初の1本で色が合わなかったときの負担が大きくなります。まず手頃な値段で自分の好きな色の方向を知ってから、特別な1本を選ぶほうが満足しやすいかなと思います。

理由2:ラメ入りは扱いに少しコツが要る

前の章でも触れたとおり、アニバーサリーインクは微粒子が底に沈むので、使う前によく振る必要があります。ラメの出る量も一定ではありません。15mlは瓶の口が小さく、ペンによっては移し替えて使うよう公式が勧めています。ガラスペンやインクの扱いに慣れてからのほうが、こうした癖も楽しめるはずです。

理由3:色の選択肢が少ない

トラディショナルが40色なのに対し、香り付きは6色、アニバーサリーは1670でも10色です。色で選びたいなら、まずは40色の中から自分の好みを見つけるほうが近道になります。好きな系統が分かれば、アニバーサリーや香り付きの中から近い色も選びやすくなりますね。

ラメ入り・香り付きのインクを使ったあとは

ガラスペンは、使い終わったら水でペン先を洗って、柔らかい布で拭くのが基本です。インクが乾いて落ちにくくなったときのために、エルバンには天然のオレンジオイルを主成分にした「ペンクリーニング液」(50ml・1,760円)もあります。

もちろん、プレゼントで最初から特別感を出したい場合や、カード1枚を華やかに仕上げたい場合のように、アニバーサリーインクが最初の1本になる場面もあります。そこは目的次第です。ただ、自分用に「エルバンを始めてみたい」という段階なら、トラディショナルの10mlで色の好みを知り、2本目でラメや香りを足す流れがいちばん後悔が少ないと思います。

好みの色の方向が見えてきたら、特別な1本としてラメ入りを手に取ってみるのもいいかなと思います。

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まとめ:エルバンのインクは定番の1本から

エルバンのインクは種類が多く見えますが、整理すると選び方はシンプルです。最後に、この記事のポイントをまとめておきますね。

  • エルバンは1670年パリ生まれのインクとシーリングワックスの老舗
  • 最初の1本は、40色・10ml 935円からあるトラディショナルインク
  • 色は画面の色見本で2〜3色に絞り、普段使う紙に試し書きして決める
  • 人気色の手がかりは、公式のガラスペンセットの6色と、発売当初からの5色
  • ラメ入りのアニバーサリーや香り付きは、好みの色が分かってからの2本目に
  • ガラスペンならそのまま使える。万年筆は吸引式・コンバーター、カートリッジはヨーロッパ・ショート対応かを確認

私の考えとしては、エルバンのインクは「10mlの小瓶で色を試せる」ことがいちばんの強みです。40色もあると迷いますが、小瓶なら迷った分だけ試せます。気に入った1色が見つかれば、その色の30mlや、近い色味のアニバーサリーインクへと広げていく楽しみも生まれます。

迷ったときの順番をもう一度だけ書いておくと、「種類はトラディショナル」「容量は10ml」「色は紙で決める」の3つです。この3つさえ押さえておけば、40色の中から1本を選ぶのも、そこから2本目を足していくのも、ずっと気楽になります。

値段は2026年6月に改定されたばかりで、色のラインナップや新色も変わることがあります。この記事の値段・色数は2026年10月時点の目安です。購入の前には、クオバディス・ジャパンの公式オンラインショップで最新の値段と在庫をご確認ください。万年筆に入れる場合は、お使いの万年筆の取扱説明書やメーカーの案内もあわせて確かめておくと安心です。

シリーズごとの値段や新色をまとめて確かめたいときは、クオバディス公式オンラインショップのエルバン商品一覧から見ていくとスムーズです。

まずは気になる1色を10mlで手に取って、あなたの紙に書いてみてください。それがエルバンのインクを楽しむいちばんの近道かなと思います。

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